『電子カルテシステムの普及に向けて』をオススメする3つの理由
もくじ
はじめに
こんにちは。I Love Bookブログ編集者のBookmanです!
今回は、私が『電子カルテシステムの普及に向けて』をオススメする理由についてご紹介したいと思います!
私がこの本と出会ったのは医療に興味を持った学生時代でした。当時、様々な分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)活用が積極活用されており、DXのイメージが少なかった医療分野について調べてみようと思ったのがこの本に出合ったきっかけでした。
当時の私のような大学生だけでなく、医療従事者の方、IT企業にお勤めの方、医療に関心のあるすべての方にオススメの一冊となっています!
ぜひこの本を取って、電子カルテ理解への一歩を踏み出しましょう!
『電子カルテシステムの普及に向けて』について
タイトル | 電子カルテシステムの普及に向けて |
企画・編集 | 医療マネジメント学会 |
出版社 | 株式会社じほう |
定価 | 2,000円 |
ジャンル | 専門書 |
発行年月日 | 2004年6月18日 |
ページ数 | 147ページ |
ISBN | 4-8407-3305-8 |
対象読者層 | 医療従事者、IT企業にお勤めの方 |
キーワード | 医療DX、電子カルテ、DX |
『電子カルテシステムの普及に向けて』をオススメする1つ目の理由
システム導入前の課題・解決策、導入後の課題・解決策について詳細に記されている!
この本の最大の特徴は、電子カルテシステムの導入「前」と「後」の課題、それに対する「対処法」が非常に具体的に書かれている点です。
例えば導入前には、単にシステム選定の問題だけでなく、「病院という組織でどうやって導入を決定していくのか」というプロセス的な課題にも言及されています。
・システム反対派の意見をどう扱うか
・誰の意見をシステムに反映させるのか
・仕様は病院側で設計するのか、それともコンサルタントに一任するのか
こうしたリアルな問題に対して、著者の経験に基づいた知見が盛り込まれており、「これから電子カルテを導入したい」と考えている病院関係者にとって、具体的なイメージを持つ手助けになります!
『電子カルテシステムの普及に向けて』をオススメする2つ目の理由
システムの導入事例について病院視点から理解することができる!
もう一つ注目すべき点は病院側の視点で語られる導入事例が紹介されていることです。この本では、電子カルテシステムの導入に関する3つの異なる事例が取り上げられています。それぞれが異なるアプローチで導入を行っており、現場で直面する課題の多様性や、どのように乗り越えたかが丁寧に描かれています。
具体的には以下の3つのパターンです:
・病院自身が主導して開発に取り組んだ事例
・自ら開発経験をもとに、ノウハウを共有してくれる
・システム開発・導入プロセスをコンサルタントに一任した事例
特に3つ目の「コンサルタントに一任した事例」については非常に興味深く、病院自ら詳細な設計や選定を行うのではなく、プロに全てを託すという選択肢が、どのようなメリット・課題を生んだのかが詳細に語られています。
単に成功例だけでなく、導入の難しさや意思決定のプロセスなど「現場の声」が詰まった内容となっており、これから導入を考える医療機関にとって貴重なケーススタディとなるでしょう!
『電子カルテシステムの普及に向けて』をオススメする3つ目の理由
システム導入事例についてベンダー視点から理解することができる!
本書のもう一つの大きな魅力は、ベンダー(開発企業)側の視点から、システム開発の過程や工夫が紹介されている点です。
導入事例だけでなく、実際にどのように開発されたのか、そのシステムが医師・看護師・技師・薬剤師など、それぞれの職種にどのようなメリットをもたらすのかが明確に示されています。
たとえば、電子カルテにありがちな「入力の煩雑さ」や「操作のわかりにくさ」に対して、各ベンダーがどのように解決策を見出し、現場で使いやすい形にしていったのかが、豊富な写真とともに解説されています。
これにより、読者は「どんなUIなのか」「実際にどんなふうに動作するのか」といった具体的なイメージを持つことができます。
これからシステムを選定・導入しようと考えている方にとっては、単なるカタログスペックではなく、現場の使い勝手を意識した選択の参考になるはずです。
印象に残った言葉
「電子カルテ導入反対論者より導入積極論者の方が危険な存在となりえる」のような言葉です。
システム積極導入論者はやみくもに導入を支持しており、システムがあれば万能薬のように何でもできてしまうと思っている節があります。
システム化できる部分は何なのか、する必要があるのはどの部分化を明確にし、システムに頼り切らないという意味でもこの言葉は印象的でした。
読んだ後の感想
総じて、非常に読み応えがあり、新たな知見を得ることができた一冊でした。
私は医療従事者ではありませんが、それでもこの本を通じて、電子カルテシステムの導入がどれほど複雑で、多くの関係者の調整や課題解決が求められるものなのかを実感しました。
単にシステムを導入するだけでなく、「病院という組織の中でどのように合意形成をはかり、運用していくのか」というプロセスの重要性を知ることができたのは、とても大きな学びでした。
また、たまにしか行かない病院であっても、裏側ではこれほど多くの工夫と試行錯誤があるのだと知り、病院という場への見方が少し変わったように思います。
『電子カルテシステムの普及に向けて』を読み終えたあなたにおススメしたい本 3選
・『電子カルテとクリティカルパスで医療が変わる』(監修:小西敏郎・石原照男)
・『医療情報システム入門2023』(編集:一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会JAHIS)
・『実例から学ぶ電子カルテ活用―FileMakerで電カルを使いこなす』(著・編:岡垣篤彦、著:富田宏昭)
まとめ
『電子カルテシステムの普及に向けて』は、技術書というよりも、「現場とともに歩む実践書」といえる一冊です。
システム導入前の不安や、組織内の調整、実際の運用後の課題、開発側の工夫までを幅広くカバーしており、これから電子カルテ導入を検討するすべての病院関係者、医療従事者にとって多くの気づきを与えてくれることでしょう。
導入に悩んでいる方、あるいは既に運用しているが課題を感じている方にも、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。